シューベルト:交響曲第5番変ロ長調 D485
ー今週のテーマはシューベルトとその周辺。
ーシューベルトの歌に満ちたこの曲!
交響曲第5番は1816年9月に作曲され、10月3日に完成された。古典的な形式の中でシューベルト特有の歌が満ち満ちている。
かつて若きグレーン・グールドが、メロディを口ずさみながら、この交響曲の第一楽章冒頭を弾いている映像が残っていて、時々見る。
グールドも魅了されるシューベルトの歌心なのだ。
第1楽章 Allegro 2分の2拍子 変ロ長調、ソナタ形式。シンプルな構造の楽章で、4小節の導入の後、軽快な第1主題が提示される。
短い経過部の後、第2主題は弦により提示される。展開部もシンプルで、導入句と第1主題を主に扱っている。
第2楽章 Andante con moto 8分の6拍子 変ホ長調、ロンド形式(A-B-A-B-A-コーダ)。
落ち着いたアンダンテで、副主題は変ハ長調で提示され、ロ長調、ト短調、変ホ長調と転調を繰り返し、明暗を醸し出す。
第3楽章 Menuetto. Allegro molto 4分の3拍子 スケルツォ風のメヌエット。ト短調、トリオはト長調。
やや厳しめのスケルツォが基調。モーツァルトの交響曲第40番第3楽章との類似がしばしば指摘される。
第4楽章 Allegro vivace 4分の2拍子 変ロ長調、ソナタ形式。
ハイドンの交響曲を彷彿させる華やかな第1主題で開始される。フェルマータの後、ヘ長調で第2主題が提示される。展開部の再現部の間もフェルマータが置かれている。

 演奏は、マルク・ミンコフスキ指揮レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル – グルノーブル。古楽器オーケストラが、ツヤをやや消した音色で、歌いすぎずあっさり目に、そして歯切れよくシューベルトを奏でている。