プッチーニ:「星は光りぬ」、歌劇『トスカ』第三幕より
ー今週のテーマは、『トスカ』!
ー今日は、フランコ・コレッリの絶唱!
銃殺が決まった画家カヴァラドッシはトスカに別れの手紙を書きはじめるが、夜が明ければ訪れる死を前にして
彼女との思い出に心が乱れ、絶望の頂点に達して感極まって泣き伏す。
切なく悲しい心情吐露が前面に押し出されたヴェリズモ(真実主義)オペラ特有の名アリア。

E lucevan le stelle ed olezzava la terra,
stridea l’uscio dell’orto,
e un passo sfiorava la rena,
entrava ella, fragrante,
mi cadea fra le braccia.

輝く星々 香る大地
きしむ庭の戸
砂を踏む足音
現れた彼女は
花のごとく香り
私の腕の中へ

Oh! dolci baci, o languide carezze,
mentr’io fremente le belle forme disciogliea dai veli!
Svanì per sempre il sogno mio d’amore.
L’ora é fuggita, e muoio disperato,
e non ho amato mai tanto la vita !

ああ 甘い口づけ
とめどない愛撫
僕は震えながら
まぶしい女体を露わにしていく

永遠に消え去った僕の愛の夢
時は過ぎ 絶望の中で僕は死んでいく
これほど命を惜しんだことはない

歌はフランコ・コレッリ(Franco Corelli, 1921年4月8日 – 2003年10月29日)。マリオ・デル=モナコ、ジュゼッペ・ディ・ステファーノに
次ぐ世代を代表するスターの一人で、劇的表現に適したスピント系の美声、力感あふれる歌唱、輝かしい高音で知られている。
激発性をも含んだ情熱、悲劇性の表現に秀でて高い人気を誇った名テノール。舞台映えする長身の美男歌手としても著名だった。