モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番ト長調 K.453
ー今週のテーマは、モーツァルトとヨーロッパの色彩。
ー今日は、明るく美しいこの曲。
1784年頃にモーツァルトは、ウィーンにおける最高のピアニストとして、貴族の館や劇場で催される演奏会に毎日のように出演したり、
また良家の子女のために作曲やピアノを教えたりするなど多忙な日々を送っていた。
第17番は1784年に作曲された一連のピアノ協奏曲(第14番から第19番)の中のひとつで、4月12日にウィーンで作曲された。
技巧的に易しく配慮されており、1784年に作曲された6曲の一連のピアノ協奏曲の中では特にすぐれたものとされており、モーツァルト自身も高く評価している。またベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番はこの作品を範にしているといわれている。
メシアンは「モーツァルトが書いた中で最も美しく、変化とコントラストに富んでいる。第2楽章のアンダンテだけで、彼の名を不滅にするに十分である」と語っている。

 第1楽章 アレグロ
ト長調、4分の4拍子。協奏風ソナタ形式。「快活に」。舞曲風の跳ねるような第1主題に始まり、細かく緻密な転調を繰り返す。
第2楽章 アンダンテ
ハ長調、4分の3拍子、三部形式。極めて美しく叙情的な楽章。「やや遅めに」。
第3楽章 アレグレット-プレスト
ト長調、2分の2拍子。変奏曲形式で、民謡風の主題の変奏に続いて、速く軽快なコーダへ。「速めに」。
モーツァルトが飼っていたムクドリがこの楽章の第1主題を歌うことができたという。

演奏は、ピアノがマリア・ジョアン・ピリス。ブロムシュテット指揮NHK交響楽団で、1992年の録画。なおピリスは今年引退することを発表した。