ドリーブ:「花の二重唱」、歌劇「ラクメ」第一幕より
ー今週は指揮者フランソワ=グザヴィエ・ロトにフォーカス。
ー今日は、ジャスミンの香りが漂うかのような「花の二重唱」!
「ラクメ」は、バレエ音楽「コッペリア」で有名ドリーブのオペラ。
英植民地時代のインドを舞台にしたこのオペラは美しい情緒に溢れた佳作で、イギリス人将校のジェラルドと恋に落ちたインドの巫女ラクメの悲恋を描いている。
第一幕冒頭。インド風の異国情緒溢れる美しい前奏曲に続き、祈りを捧げるヒンズー教徒たちの合唱で幕が開く。高僧ニラカンタはインドを植民地化する英国人に憤り、娘のラクメに我々のために祈るよう言い、ラクメと教徒たちは敬虔に祈りを捧げる。
ニラカンタが町の祭祀に出かけると、残されたラクメは侍女のマリカを呼びとめ、花が咲き乱れ鳥が歌う小川のほとりで、美しい「花の二重唱」を歌う。
純白のジャスミンの花の香と小鳥のさえずりを思わせる二重唱を歌いながら、二人は小舟に乗って川を下っていく。

ラクメ
おいで、マリカ、花をつけた蔦は、もはやその影を聖なる川に落としているわ。
暗く静かな流れはさえずる小鳥の歌に目を覚ますのよ

マリカ
ああ、お嬢様。今の時間は、あなた様のお顔に微笑が浮かぶ、しあわせの時です。
ラクメ様の閉ざされたままのお心がわずかに開く時ですね!

ラクメ
ジャスミンとバラの厚く群れ咲くアーチ、
花咲く岸辺、清清しい朝、みんな私たちを呼んでいる。
ああ、流れ行く水に乗って、さざめく水面をすべってみましょう
ゆっくりと漕いで、小鳥たちの歌う、岸辺にまいりましょう
繁ったアーチ、白いジャスミンが、そろって私たちを呼んでいる。

マリカ
白いジャスミンとバラの群れ咲く、白いアーチの下、
花咲く岸辺を、朝の清清しさを吸って、さあ一緒にまいりましょう。
静かにすべりましょう。
心地よい流れに乗って、さざめく波の中を。
ゆっくりと漕いで、そこには泉が眠り、小鳥が歌っている。
繁ったアーチの下を、白いジャスミンの下を、
ああ、一緒に下りましょう。

ラクメ
でも、どんな恐ろしいことが突然に、私の上にふりかかることやら。
お父上はおひとりで、あの呪われた町に行かれたが、
思えばおそろしいこと。

マリカ
ガネサのお加護がありますように。
では、雪のような羽の白鳥たちが、喜びあそぶあの池に行って
青い蓮を摘みましょう。

ラクメ
そうね、雪のような羽の白鳥たちの側で、青い蓮を摘みましょう。
繁ったアーチ、白いジャスミン
マリカ
白いジャスミンとバラの群れ咲く・・・

演奏は、サビーヌ・ドゥヴィエル(ソプラノ)、マリアンヌ・クレバッサ(メゾ・ソプラノ)、
そしてフランソワ=グザヴィエ・ロト指揮ル・シエクル。2017年フィルハーモニー・ド・パリでの録画。