ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調作品73
ー今週のテーマは、モーツァルトとヨーロッパの色彩。
ー今日は、この日にとっておいたこの曲! 特に第二楽章のしみじみとした歌を味わいたい。
ベートーヴェンがこの曲のスケッチと作曲に取り組んでいる最中の1809年、ナポレオン率いるフランス軍がベートーヴェンが住んでいたウィーンを完全包囲し、シェーンブルン宮殿を占拠した。
カール大公率いるオーストリア軍はフランス軍の勢いを止める事は出来ず、ウィーン中心部を砲撃され、フランス軍はウィーンに入城を許した。オーストリア皇帝フランツを初め、ベートーヴェンを支援してきたルドルフ大公を初めとする貴族たちもこぞって疎開、ウィーンに於ける音楽活動は途絶えてしまう。
ベートーヴェンは住居近くにも砲弾が落ちたことから弟カール宅の地下室に避難、不自由な生活の下でも作曲を続けていた。たまりかねてウィーンの街中を我が物顔で歩くフランス軍将校とすれ違った際に将校に向かって拳を上げながら「もし対位法と同じぐらい戦術に精通していたら、目に物を見せてくれように」と叫ぶこともあったといわれている。
第1楽章 Allegro 変ホ長調 4/4拍子 独奏協奏曲式ソナタ形式。冒頭の華やかなカデンツァが印象的。
第2楽章 Adagio un poco mosso ロ長調 4/4拍子 変奏曲形式。穏やかな旋律が広がる。
第3楽章 Rondo Allegro – Piu allgero 変ホ長調 6/8拍子 ソナタ形式。

 演奏は、ピアノが内田光子、小澤征爾指揮サイトウ・キネン・オーケストラ。コンサートミストレスは潮田益子。2006年の録画。