《classical music to your heart no.959》
チャイコフスキー:交響曲第1番ト短調作品13 第2楽章
ー今週のテーマは雪。
ー先ずは雪に覆われたロシアの大地と澄み切った空を彷彿とさせるこの曲を。
交響曲第1番ト短調『冬の日の幻想』は、チャイコフスキーが発表した最初の交響曲で、1866年3月から6月にかけて作曲された。
1866年1月チャイコフスキーはサンクトペテルブルクからモスクワに出る。恩師アントン・ルビンシテインの弟ニコライ・ルビンシテインが設立したモスクワ音楽院の講師として招かれたのである。音楽院では和声と楽器法を教えることになっていたが、9月の開校までの間、貧しかったチャイコフスキーはニコライ邸の食客として過ごし、ニコライに勧められて交響曲を作曲した。執筆は3月から6月ごろである(第1稿)。
交響曲が仕上がると、チャイコフスキーはアントン・ルビンシテインらに楽譜を見せて意見を乞うた。彼らは酷評し、チャイコフスキーは彼らの意見を取り入れて楽譜に手を加えて再び見せたが、2人の反応は依然として厳しいものだった(第2稿)。チャイコフスキーは1874年にこの曲を改訂し(第3稿)、今日この稿が演奏される。
第2楽章「陰気な土地、霧の土地」
Adagio cantabile ma non tanto – Pochissimo piu mosso 変ホ長調、4/4拍子、序奏-A-B-A-B-A-コーダというロンド形式。
1866年にチャイコフスキーが訪れたラドガ湖の印象といわれている。
序奏は弱音器を付けたヴァイオリンの柔らかく物語るような旋律。主要主題Aは、旋律の後半はハ短調に傾き、哀調を帯びたもの。はじめにオーボエ、二回目にチェロ、三回目はホルンでそれぞれ歌われる。この旋律は序曲『雷雨』作品76の中でも使用されている。
ポキッシモ・ピウ・モッソの副主題(B)は主要主題の素材を用いた軽いエピソード的なもので、変イ長調でフルートにより奏されてからヴァイオリンに引きつがれる。
まもなく主部が回帰し、今度は主要主題がヴィオラで展開的に取り扱われる。次いで副主題が変ホ長調で再現された後、主部が華麗に回帰する。ホルンにより主要主題が変形して奏され、クライマックスを作る。これが収束するとコーダとなり、ヴァイオリンの序奏主題が還ってきて締めくくる。
演奏は、ネヴィル・マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団。クリアで明晰な表現が一興あり。