チャイコフスキー:交響的バラード「地方長官」
ー今週のテーマは「バラードと前奏曲」
チャイコフスキーの隠れた佳作!
「バラード」と言ってもピアノ作品に限られない。チャイコフスキーのこの曲は、チャイコフスキーの管弦楽曲の中でも緻密な構成で、冗長なところや通俗生に流れるところがなく、優れた作品となっている。
交響的バラード《地方長官》(Симфоническая баллада “Воевода”)作品78は、チャイコフスキーが1891年に作曲した管弦楽曲。
チャイコフスキーは生涯に3つの《地方長官》を手懸けている。破棄した初期の歌劇(1867年~1868年)と、劇付随音楽(1886年)は、いずれもオストロフスキーの戯曲に基づいている。それに対し本作は、ポーランドの詩人アダム・ミツキェヴィチの詩を、文豪アレクサンドル・プーシキンがロシア語に翻訳・翻案した詩に基づく標題音楽であり、「交響的バラード」と銘打っている。。

 ストーリーー地方長官が夜に戦場から戻ってくると、若い妻の昔の恋人が妻に迫っているのを目撃する。長官は下男に男を殺せと命ずるが、下男の銃弾は長官の額に跳ね返って来る。

曲の構成ー三部形式を採る。イ短調に始まる。両端部分は、地方長官とその激情を表す部分であり、対照的にロマンティックな中間部では、イ短調の最遠隔調の一つ変ホ長調が採られている。

特徴ーチェレスタが起用された最初期の管弦楽曲の一つで、成立時期はバレエ音楽《くるみ割り人形》よりも早い。
現在では、最晩年のチャイコフスキーが新境地を開きつつあったことを肯定し、作品の魅力を認める評価が出てきている。
くすんだ感じの寒色系の音色が目立ち、ジャン・シベリウスの作風を予告しているとされている。
演奏は、クラウディオ・アバド指揮シカゴ交響楽団。シカゴ交響楽団のパワフルな管楽器や弦楽器を生かし、切れ味よく颯爽として迫力があり、ロマンティックな中間部もよく歌っている。