ハイドン:ソナタ 第31番 変イ長調Hob XVI:46
ー今週のテーマは、ハイドンとモーツァルトの秋。
ハイドン(1732-1809)のこのピアノ・ソナタは、1788年にHob.XVI: 44および45と共に出版された。1766年のHob.XVI: 45と同時期あるいは70年頃に作曲されたと考えられている。
主題はどれも明朗で、全体として肩肘の張らない雰囲気をもつ作品。その一方、展開部にしばしば現れる短調部分では、ハイドンの60年代後半から70年初め頃の作品にみられる興奮や情熱といった感情の表出的な特徴が見られる。また、この時期には稀な4つの調号をもつ調性や、フェルマータの多用や休符による間、やや唐突な転調など意外性もあり、奥深さを示している。
第1楽章:アレグロ・モデラート、変イ長調、4/4拍子。ソナタ形式。
やや大規模な楽章だが、適度な切り替えをもたらすフェルマータと、トッカータのような勢いをもつパッセージによって、メリハリが与えられている。
第2楽章:アダージョ、変ニ長調、3/4拍子。ソナタ形式。
ソナタ形式だが、再現部は展開部と密接に絡み合い、主調には戻るものの、再現というよりむしろ展開的に進行する。第1主題は、バロック時代の舞曲組曲に含まれるサラバンドのような、落ち着いた気品をもつ。
第3楽章:フィナーレ。プレスト、変イ長調、2/4拍子。ソナタ形式。
フィナーレにふさわしい快速な楽章。主題は2つとも十六分音符を中心とした細かな動きで、最後まで勢い衰えずに進む。
演奏は、イーヴォ・ポゴレリチ。一音一音、音の粒が極めて透明で、ハイドンにふさわしい。スタインウェイとは思えない響きだ。