グリーグ:ノルウェー民謡による変奏曲形式のバラード ト短調Op.24
ー今週のテーマは「バラードと前奏曲」
グリーク最大のピアノ・ソロ作品!
ヒロシマ・ナガサキの犠牲者を偲んで聞きたい。
1875年の暮れに作曲に着手、その冬の間に書かれた。この年はグリーグにとって大変な年だった。64年の生涯のちょうど半分、32歳のターニング・ポイントだったが、1年半苦労したイプセンの劇<ペール・ギュント>のための音楽が完成した9月に母、そして10月に父が相次いで亡くなり、そのほかにも心を傷めることに苦しんでいた。だから<バラード>
には多くの人が言うように、悲傷の色彩が色濃く現われている。作品は14の変奏から成っているが各変奏曲に番号は打たず、一貫して演奏される。グリーグ自身はこれを非常に個人的な作品と考えていたので、人前で弾くことはなかった。
主題として使用されているノルウェーの民謡は、ノルウェーの作曲家で民謡収集として知られるルドヴィク・マティアス・リンデマンが採取したヴァルドレス地方の民謡「北国の農民」で、グリーグはそれをもとに14の変奏及びコーダを作曲した。
14の変奏とコーダから構成されている。
主題 アンダンテ・エスプレッシーヴォ(ト短調、4分の3拍子):マズルカ風のリズムの曲。三部形式で中間部はPoco animato、少し高揚する。
第1変奏 ポコ・メノ・アンダンテ・マ・ノン・トランクィロ、4分の3拍子(以降、特記したもの以外はすべて同様)。
第2変奏 アレグロ・アジタート、8分の9拍子。
第3変奏 アダージョ:右手の親指で弾くメロディーをテヌートするよう指示がある。
第4変奏 アレグロ・カプリチョーソ
第5変奏 ピウ・レント:レチタティーヴォ風な曲想が差し挟まれる。
第6変奏 アレグロ・スケルツァンド
第7変奏 記号なし:16部音符の連続だが、音符が小節線をまたぐシューマン風な曲調。
第8変奏 レント
第9変奏 ウン・ポコ・アンダンテ
第10変奏 ウン・ポコ・アレグロ・エ・アラ・ブルラ、8分の12拍子。
第11変奏 ピウ・アニマート、4分の4拍子、変ニ長調。:ホ長調、ト長調へ転調する。
第12変奏 メノ・アレグロ・エ・マエストーソ、8分の6拍子。
第13変奏 アレグロ・フリオーソ:分散和音が特徴的。
第14変奏 プレスティッシモ:前の変奏からの流れで高揚し、クライマックスに達したところで半休止する。
コーダ アンダンテ・エスプレッシーヴォ:主題が8小節だけ回帰して静かにト短調で終結する。 

 演奏は、ホルヘ・ボレット(Jorge Bolet, 1914年 – 1990年)。キューバのハバナに生まれ、フィラデルフィアのカーティス音楽学校でゴドフスキーとサパートンに師事。ラフマニノフの従兄弟であり、リストの弟子でもあったアレクサンドル•ジロティにも師事し、ジロティの下で自身の演奏スタイルを確立した。ピアニストとして名声に恵まれるようになったのは、ようやく1970年代初頭になってからであり、カーネギーホールでの演奏によって評価を確かなものにした。ボレットは、ある批評家が述べたように、「長年の無視に傷ついていた」ものの、まさにあらん限りの能力を発揮した。その驚異的な演奏は、近年のフィリップス・レコードにおける「20世紀の偉大なるピアニスト」シリーズのCDでも確認することができる。後にルドルフ・ゼルキンの後任としてカーティス音楽院ピアノ科の主任教授を務めた。