ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調 作品47「クロイツェル」
ー今週は、現代の三人の俊英アーティスト。
ー今朝は2人目のコパチンスカヤと3人目のファジル・サイの共演による
「ラディカル」な「クロイツェル」。
1803年交響曲第3番「英雄」が作曲された頃の作品で、ベートーヴェンの最も充実した時期に当たる。ヴァイオリニストのクロイツエルに献呈されたので、この名前がついている。
トルストイの小説『クロイツェル・ソナタ』は、この曲に触発されて執筆された作品だ。
ベートーヴェン自身がつけた曲の正式のタイトルは『ほとんど協奏曲のように、競って演奏されるヴァイオリン助奏つきのピアノ・ソナタ』で、モーツァルトまではヴァイオリンはピアノを補助する程度の役割であったものを、2つの楽器が対等に渡りあう曲にしたイノヘーティブな作品で充実した内容を持っている。
そのベートーヴェンの精神と意図を、ある意味で最もドラマティックに表現して見せたのが、この演奏だ。
この演奏に対するグラモフォンの評価。
“Patricia Kopatchinskaja and Fazil Say share a radical approach, performing each musical gesture in the most vivid way, with smoothness and tonal beauty a secondary consideration. It’s undeniably exciting… Daring, and highly individual playing…”
「ラディカル」とは、過激という意味ではなく、根源的という意味なのだが、そこに迫る演奏だ。
第一楽章 溢れる感情の奔流、火花を散らす対話、そして静寂と叙情の隙間。
第二楽章 一転して楽しげでリラックスした世界が広がっていく。ピアノもヴァイリンもとてもチャーミングで軽やか。
第三楽章 イタリア由来の急速な舞曲タランテラのリズムを持った華々しい終曲で、ヴァイオリンもピアノも溌剌とした素敵なパフォーマンス。
少し長いが、とにかく聴いていただきたい。